一般社団法人 日本OMG

IIC World Congress 2016 in Barcelona 報告

今年度の傾向

ガートナーによると、IoTプラットフォームやコネクテッドホームといったIoTビジネスはまだ「過度な期待」によるピーク期にあると言われています。
一方、インダストリー4.0やIndustrial Internet Consortiumを中心に産業IoTの実証実験が年々増えてくるなど、IIoTに対する期待は高まっています。
また、今年のIOT SOLUTION WORLD CONGRESSでは、東芝とDell Technolgoiesによるスマートファシリティー実証実験の紹介や、NECが参加する顔認識技術を使ったアパレル業界に向けた実証実験など、日本企業のIoTビジネスに対する注目度が上がってきています。
さて、今年のIOT SOLUTION WORLD CONGRESSでは、以下の3点が強調されていました。
1.IoTの成功には正しくビジネス課題を設定できたかが重要である。
確かに事例は増えてきているが、 まだ技術実証が大半をしめており、ビジネス的な実現可能性までは達していない印象でした。
2.IoTを成功させるには特化ナレッジ・技術を持った企業によるパートナーシップが不可欠である。
産業システムがますます複雑になる、一般消費者向けのビジネスでも大量・多様性の高いデータのリアルタイム処理が当たり前になっている今、情報技術と運用技術の融合を図らなくてはならない。
3.IoTはビジネス目的ではなく、データを集める手段もしくはフレームワークである。という概念
IoT自体をビジネスの主体に置くという話よりは、センサーやアクチュエーター、エッジデバイスなどのIoTアーキテクチャーを上手に連携させなくてはいけません。 各ノード間の相互運用性を高めておけば、取得できるデータの質が高まった際に、付加価値の高いビジネスを提供できるようになるため、多くのIIC参加企業はそのための手段だと考えているようです。

ツアーで得られたこと

今回のツアーで重要だなと感じたキーワードは下記5つです。
1. Digital Transformation
IoTに限らずあらゆる情報がデジタル化されて、製品がサービスに簡単に様変わりする社会では、デジタルの理解度はビジネスの成功を左右するくらいの力があると感じています。 色々なものがデジタル化されてくと自社製品やサービスの提供価値を明確に説明できなくてはいけなくなると思っています。例えば、3Dプリンターができる前は図面や熟練工などを抱えることに価値があったりしましたが、3Dプリンターがあると場所が離れていても図面や熟練の技がデジタル化されたとたんに人を抱える意義が少なくなる領域もあったりします。 そうなると情報や技術が集まるプラットフォームがますます重要になってきてさらに無料のプラットフォームが増え、収益モデルがサービスではなくて情報利用だったりと変化してきます。こうなるとデジタル化の波は隣接市場や異業種との協業が増えていきます。自動車業界が運転状況のデータを安価に集められるようになったおかげで自動車保険や損害保険でもデータ活用が生まれ、以前の収益モデルとは違うモデルができてます。
今回のバルセロナでの展示を見ても、プラットフォーム、ビッグデータ、人工知能、などが盛んに叫ばれていました。 一方で、製品やサービス自体に競争優位性があるようなものは見当たらなかったと思います。デジタル化が進む世界では自社で云々ではなく、デフォルトで協業・オープンイノベーションが必須なのかなと感じました。
2. Product to Connected Services
デジタル化の部分と類似しますが、ITとOTがシームレスに融合してくると製品が繋がるようになり、センサーで収集されたデータをもとに分析エンジンが高度な分析を行い、その結果・ルールがアクチュエーターに転送され、スマートに操作されていきます。例えば、NikeのシューズやBabolatのテニスラケット。シューズにしてもラケットにしても物というのはこれまで、「使うこと」は共有されても、「使われ方」は共有されることはありませんでした。 また、物を一度買うとメーカーの仕様に合わせて購買者は使っていましたが、IoTは購買者に使い方を提案させることを可能にしました。
単なる物からセンサーやアクチュエーター、ハードウェアからソフトウェア化、に変化する中で、価値は物からデータに移っていき、それを多く集めることで新たなサービスが生まれてくるようになりました。物は同じでも提供されるサービスが違う。 これはTeslaが考える車の概念と同じです。これまでカメラやスマホがファームウェアやソフトウェアアップデートで提供価値を上げていったのと同様に、いわゆる物も見え方(UI)も性能や機能(UX)もまったく違うものになります。データを通じてサービスが連携されていけばいくほど、これまでの産業構造は機能しなくなりますし、ますます協業の意義が増していきます。
3. IT/OT Convergence
センサーが多種多様になって、サーバー技術も向上してきた結果、収集できるデータの量も質も指数的に複雑になっていきます。 一方で、データを即座に処理・分析してユーザーへの提供価値を他社よりもアップさせないといけないといったプレッシャーも大きくなっています。
データの作られ方と使われ方を一連の流れとして理解して、全体最適していかないと今後のIoTサービスの価値は低くなってしまいます。
繰り返しになりますが、市場の変化の速さと自社だけで企画開発できる速さが違いすぎるので、ますます「協業」「融合」「結合」といった足し算と掛け算の頭が必要になってくると思います。
4. Information Value Chain
これはIT/OT Convergenceの「一連の流れ」と同意義です。
5. Connected People(Workforce/Patients etc.)
IoT( Internet of Things )という言葉を見ると、モノをインターネットにつないでデータ収集や制御といったものを想定してしまうが、これらのことによって人の生活や仕事の様式が変わる。
特に、仕事においての行動、関わり方などが変わってくるだろう。という予測がされていました。

Takeaways

– 海外企業は突飛なことをやっているわけではないが、スピード感をもってトライ&エラーをやっていること – テストベッドで知財の取扱いの論争はあるが、テストベッド参加企業間で決めることで特にIIC側で確固たる ルールを設けていないので、IIRAやIISFを参照しつつ、知財話をスムーズにできるように進めることが重要 – 成功しているテストベッドでは、参画企業はそれぞれのカスタマーをよく理解できている
– IICという外部団体を利用する利点は、テストベッド参画企業間のコミュニケーションを円滑にしてくれること(単独ではこれ案外しんどい) 、IIRAやIISFを参照する利点は、RA自体過去の経験をベースにしたベストプラクティスなので、初段から不要な失敗を犯さなくてもいいため、当事者へのアカウンタビリティーだけでなく、ビジネスの実現可能性も高められる

その他

日本から今回ツアーで参加した企業様向けにIIC幹部との特別ミーティングセッションを設けました。 これは、今回ツアー参加の中でも特に大きな利点だったと思います。
これらの内容詳細については12月開催のイベントにて共有させて頂きます。 お楽しみに!